末軌璃片:焔の月 8日目
6日目から以来
いくつか大敗を喫しつつもゾンビ退治は比較的うまくいった。
ゾンビの肉を断つ感触が今も忘れられない。
あと声。
レムネットさんはとても可愛らしかったけど、剣の不思議な力を使役している私と同じぐらい丈夫で強かった。
シスターってすごいな。
彼女の探しものはみつからなかったみたいだけど、給料は頂けた。
また機会があったら手伝ってあげたいなと思う。
絶対一歩。相対一歩。
この世界で生きて行くために身につけた技術が、早速役立った。
それは、ただ物質的なものだけじゃなくて、人間関係的にも影響を及ぼした。
ひょんなことからえぬえむさんとチームを組むことになった。
彼女は私が履いたこともないストラップシューズが良く似合う女の子だ。
従兄弟を知ってるらしく「彼の髪の毛は元気かしら?」って聞かれた
もちろん元気だよ。と私は返した。
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えぬえむさんは私より格段腕の良い武器製作ができるので
新しい武器の製作をお願いした。
従兄弟にもらった袋に入ってたこの片剣は惜しいけど
私は、自分の意志で、強くなりたいと思っているから。
彼女に作ってもらった武器は、また折れていた。
姿形は片剣にとても近い。けどこの剣には名前がある。
「ハッピースライサー」
どちらかというと悲観的な私じゃ、到底思いつかない名前を彼女は拵えてくれた。
こう見えても英語にそこまで明るくない私は「幸せの薄切り」という直訳を思いつき、我ながら照れくさく笑ってしまうのだった。
えぬえむさん。ありがとう。